小寺クリニック

院長の旅行記

2017.08.11

ブラジル 精神医療視察

ブラジル 精神医療視察

ブラジル精神科医療視察の報告

小寺隆史

ブラジルは遠かった。大阪伊丹空港を離陸後、サンパウロ空港に着陸したのは32時間後の、現地時間2004年4月28日午前8時だった。この日ホテルのベッドに入ったのは次の日の午前1時だったので、大阪を出て、49時間後やっとまともな床に入れたということになる。同行の石島先生の知人、ボニーさんとその従兄弟のアントニオさんの案内で、サンパウロの総合医療センターである、Hospital das Cl ínicasを訪問、その精神科部門の見学を行った。新病棟を建設中で、小児専用病室なども作られることがわかった。

Hospital das Cl ínicas

その後、ヤンセン・ファーマの紹介で、現地の精神科医師と懇談の後、日本人移民のために作られた、精神科療養施設、「やすらぎ」を見学。そこで、長年臨床活動をしてきた、日系2世のDr.Isamu Yanagawa と面会。いろいろ話を聞かせてもらった。この方は、日本語は話せなかったそうだが、独学で日本語を習得されたという。少したどたどしさがあるものの、十分通じる日本語を話される。

日系人のための精神科療養施設「やすらぎ」

「やすらぎ」にて、左からDr.Nakagawa ,ホーム長の小野さん、同行の都井Dr.と石島Dr.

この施設は、周りは森にかこまれていて、環境が良い。レクレーション室、作業療法しつ等も充実している上に、個室も完備していて、日本の精神病院よりもはるかに恵まれているように思われた。治療薬などの種類、健康保険の整備などは、日本より遅れているが、そのなかで、人間らしい生活ができると言う点で、日本の施設より恵まれている。患者さんも生き生きとした感じがした。

卓球を楽しむ入所患者さん

作業療法室:患者さんの作った置物の作品

2日間の観光をはさみ、現地滞在5日目に、IRMÃO ALTINOという、ある宗教団体が経営する精神科の入院治療施設を訪れた。ここは、主にてんかんの患者の入所施設で、入院期間は平均で、2〜3ヶ月であるという。ここは患者さんのための庭がすばらしかった。

IRMÃO ALTINOの庭

IRMÃO ALTINOの庭のなかにある屋根付きのベンチ

写真にあるようにその庭のなかに藁葺きの屋根付きのベンチがあって、そこで、定時の診察がおこなわれるという。これはかなり羨ましかった。写真の屋根の柱には診察の時間表が貼ってあった。

診察のタイムテーブル

まとめ

ブラジルの精神医療は、健康保険が日本ほど充実していないため、日本に比べて保険で使える薬剤の種類が少ないということはあったものの、病院の環境や、病室の条件、個室の充実など、日本の精神科の病院より、はるかに、humanistic なものであった。