よくあるご質問
自己愛人格障害とはどんな病気ですか?
自己愛は、人間にとって必要なものです。自分を愛する心は、人間が生きていく上で、何より重要なものだと言ってもいいはずです。
人は、誰しも自分の中に、嫌な面を持っています。自分の中には、良い面もあるし、しかし、悪い面もある。その両面を合わせて、自分だと認めることができること、それが健全な自己愛です。健全な自己愛とは、自分で自分のことを
受容できることで、自分が自分の味方になれること、とも言えます。そして、これは人間が生きていく上で、とても大切なことなのです。
それでは、自己愛人格障害とは、何なのでしょうか?
自己愛人格障害とは、人間が不健全な自己愛に支配されている状態と言うことができます。
では、不健全な自己愛とは、何なのでしょうか?
その特徴は、二つあります。一つは、自分の悪い面を認めることができないということです。自分には、良い面と悪い面があります。自己愛人格障害の人はその両面を合わせて自分だとすることが、とても苦手です。これは、そこに生じる葛藤を引き受けることができないからです。
もう一つの特徴は、自分を支持してくれる他者を、必ず必要とすることです。つまり他者からの良い評価に依存している状態といえます。この場合、他者は自分を見るための「姿見」に過ぎず、一方でその他者を、一人の人間として尊重するということは希薄になります。
ギリシア神話の中で、ナルシスは、泉に移った自分の美貌
にウットリとします。そしてそれを何度も確認します。
しかし、決してナルシスは泉そのものを見ているのではありません。
(泉は、他者に相当します。)
なお、自己愛人格障害は、多くの部分、境界例人格障害(別項参照)とオーバーラップします。